永倉 知美 展 2012

永倉 知美 展 2012

開催日程
2012年8月31日(Fri)~9月15日(Sat) PM12:00~PM7:00(最終日PM5:00) Closed on Sunday

 

SPC PRESENTS 2012
【 永倉 知美 展 】 Retort of “META DOGMA” Between Silence & Impact 1982-2012

レトルト オブ “メタドグマ” について (レトルト文書)

レトルトとは、現代にあってレトルトパウチに代表される加工食品が広く知られているが、実際、蒸留機とした実験器具を指していう。レトルトは錬金術で多く用いられたため、錬金術師を描いた多数のデッサンやスケッチにも表されている。加熱する物質を入れる容器と、生成物の出ていく側面に斜めに付いた管からなる物である。

かくして、”メタドグマ”なる妄想装置の蒸留機からは如何なる生成物が湧出されうるのかが問題となるわけだが、そもそもその素材性から見た場合、ホームセンターなどで一括購入できる、比較的容易に加工可能なありふれた材料が使用されており、ほぼ内部の密度性が問題とされてはいない。またそうした最低限の質量でその支持体とするといったことが重視されているわけでもない。いうなればアングラ演劇の舞台装置を構成する程の内容物と見れば説明は容易であり、それらはまた極まりなく表層的であるわけだ。果たして金へ精錬可能か。

問題とされるのは、むしろそのテーマ性にあり、ある媒体性の意味するところに分け入らなければならない。ここでいう媒体性とは、ある種の宣伝(広告)のことを含む。例えばTVといった現代のメディア(極まりもしない宣伝様式)との関わり、それは一般的に威力ある有効性は認めるにせよその無力化を計るといったこと(ダダイズム)に始まり、エロス、オカルト、古代密儀に連なる神殿や儀式、戴冠式、結婚式から葬式といった性と死に関わるモチーフ、神智学、宗教としたテーマ、そうした幅はあるにせよある特定の機能、様式(場合によっては意匠)が重視される。密教でいうタントラ(経典)は宣伝、広報という意味さえ内包する古代サンスクリット語(梵字)であり、この種のテーマとしては格好な思考素材であったことはいうまでもない。
但し、そうしたコンセプチュアルな思考方程式を、予め現前として全てを示顕させたとは記憶にもなく、現実には何をやっていたのかは定かではないにせよ、ただそれらはインスタレーションとして成立するといった如何に関わらず現出させてしまった事実は報告に値すると思う。

そして、如何なる生成物がといった件に話は戻るが、加熱する物質は、上にいうインスタレーションの記録写真とすれば話は早い。自ら行為したことに対する思考方法を再構築できないか、記録展以上の物としての提示は可能か、ある意味でのセルフカバーは越えられるか、イメージの増幅装置は加熱に耐えうるか。
当時のそれぞれの作品に関わった莫大な思念といっても過言ではない、自身の外部に放出した、何かそうした想いの集合体に取り憑かれ眠れない夜を過ごすはめともなるが、とはいえ心の針が振れた方向にしか行くことができないとなれば、その物質から抽出される生成物を見に行くしかない。

真価は見る人それぞれの内部に醸造される物。結果はミクストメディアならず、メディアミックスたる副次的産物であろうとなかろうと半ば強引に抽出生成された物に至る。活動30年目のファイルの整理がしたかったのも事実だが、この際内容が回顧展であれスピンオフ作品であれ良しというわけだ。
仕様は、300x300mmの印画紙出力、9ピースで1点(900x900mm)を構成。計10点(90ピース)で展示構成する。デジタルデータ上で構築されたインスタレーションと位置付けている。制作は完了次第、展示へ強行突入。

最後になるが、話題としたレトルトにはもう一つの意味がある。言い返す、やりかえす。報復、逆襲する。
これすなわち「”メタドグマ”の逆襲」と相成る。to Recover ! おわり。
                                     2012年 盛夏 永倉 知美

PROFILE

永倉 知美 (NAGAKURA Tomomi)

1962 東京都出身 大田区上池台に育つ
1981 東海大学教養学部デザイン学課程 中退
1983 最初の個展開催  (東京/渋谷)
2003 SPCギャラリー 開廊 主宰  (東京/日本橋)
現 在  東京都中央区日本橋在住 当サイトHP主幹 制作

 

【 主な経歴 】

1982 第35回日本アンデパンダン展 参加  (東京都美術館/上野)
    FRAGMENT展 参加  (画廊春秋/銀座)
1983 第36回日本アンデパンダン展 参加  (東京都美術館/上野)
    個展 FARM PRODUCTS 展  (カフェ クレソン/渋谷)
    個展 SPIRIT PRODUCTS 展  (カフェ クレソン/渋谷)
1985 個展 FREE MEDICINE ’85  (淡路町画廊/神田)
1987 個展 FREE MEDICINE ’87  (真木画廊/日本橋)
1988 個展 PRE– MEDICINE ’88  (田村画廊/神田)
1989 個展 Invitation of FREE MEDICINE ’89  (ギャラリーサージ/神田)
    個展 FREE MEDICINE ’89 -Middle Round-  (ギャラリーサージ/神田)
    個展 FREE MEDICINE ’89 -Final Round-  (真木画廊/日本橋)
1990 SPC PROJECT FILE ’90 記録展  (ギャラリーサージ/神田)
    個展 META PARADIGM ’90  (ときわ画廊/日本橋)
1991 個展 FREE MEDICINE ’91  (ギャラリーサージ/神田)
1992 個展 TRANSMEDIATION ’92  (ギャラリーサージ/神田)
1993 個展 FREE MEDICINE ’93  (ギャラリィK/銀座)
1994 個展 Invitation of TRANSMIGRATION ’94  (ギャラリーサージ/神田)
    個展 TRANSMIGRATION ’94  (ギャラリー現/銀座)
1996 個展 FREE MEDICINE ’95+1  (淡路町画廊/神田)
1999 個展 FREE MEDICINE ’99 -The Secret Integration-  (淡路町画廊/神田)
2000 SPC PROJECT FILE 2000 記録展  (淡路町画廊/神田)
2001 DOUBLE DIMENSION 2001 企画/参加  (旧株式新聞社別館/日本橋 + ギャラリーサージ/神田)
2003 SPCギャラリー 伊藤七男個展 企画/開廊  (旧株式新聞社別館, 現SPCビル 3F/日本橋)
    在所 -aridokoro- を求めて 共同企画  (SPCギャラリー/日本橋)
2005 藤井博 ’70~’91 図録 編纂事業 企画/編集/発行  (SPIRIT PRODUCTS Co., Ltd. /日本橋) ~2006
    米谷栄一 vs 永倉知美 ~神殿伝説~ 企画/参加  (SPCギャラリー/日本橋)
2006 ART MEDICINE Project 1stGIG 企画/参加  (東京都美術館/上野)
    SPC PROJECT FILE ’06 企画/記録展  (SPC Preview Garden, SPCビル 2F 旧回廊/日本橋)
2009 SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ 企画  (SPCギャラリー/日本橋)
    「独り+ 20人の原風景」展 参加  (東京都美術館/上野)
2010 個展 Sanctuary of “META DOGMA”  (SPCギャラリー/日本橋)
    SPIRIT PRODUCTS CONCEPTION 2010 企画  (SPCギャラリー/日本橋)
2011 SPIRIT PRODUCTS CONCEPTION 2011 企画  (SPCギャラリー/日本橋)
2012 SPIRIT PRODUCTS CONCEPTION 2012 企画  (SPCギャラリー/日本橋)
    個展 Retort of “META DOGMA”  (SPCギャラリー/日本橋)
2013 Dogma of SPIRIT PRODUCTS 2013 企画/参加  (SPCギャラリー/日本橋)
    SPIRIT PRODUCTS CONCEPTION 2013 企画  (SPCギャラリー/日本橋)
2014 Dogma of SPIRIT PRODUCTS 2014 企画/参加  (SPCギャラリー/日本橋)
    SPIRIT PRODUCTS CONCEPTION 2014 企画  (SPCギャラリー/日本橋)