画像左上から
A4フライヤー 坂牛幹雄 坂口啓子 上坂公輔 高島芳幸 後啓子 小林恒夫 竹内博 花岡和也
SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~
開催日程
2009年5月25日〜7月18日
Closed on Sunday
2009年5月25日より7月18日まで SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ の開催をご案内致します。
この展覧会は都合8週間にわたり、2人展を各2週間、全4会期で構成致しました。内容は、それぞれ2名の造形作家によるインスタレーションを基軸に、計画的であれ、偶発的であれ、コラボレーション的様相を呈することを企図しており、その意味で非常に興味深いエモーショナルな展開が期待されます。
またインスタレーションとしたその性質上、極めて一回性の高い展示となることは言うまでもありません。
その空間現実に分け入り、生のままの体感を通じて、新しい現在の対話が行えることを願っております。
< 各展示アーカイブは下記、 各作家名 をクリックしてご覧下さい >
[ SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ Vol.1 ]
坂 牛 幹 雄 × 坂 口 啓 子
5.25(Mon)ー6.6(Sat).2009
[ SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ Vol.2 ]
上 坂 公 輔 × 高 島 芳 幸
6.8(Mon)ー6.20(Sat).2009
[ SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ Vol.3 ]
後 啓 子 × 小 林 恒 夫
6.22(Mon)ー7.4(Sat).2009
[ SPIRIT PRODUCTS 展 ~精神と物質~ Vol.4 ]
竹 内 博 × 花 岡 和 也
7.6(Mon)ー7.18(Sat).2009
Between Spirit and Matter “精神 産物 展” に寄せて
2000年代に入り早くも10年経過しようという現在、インターネットをはじめ映像メディアとしての情報氾濫は留まることなく目の前を行き交う。これら情報は、ほぼ瞬時に消費されていくようだ。何が印象に残るだろうか、かの重大事件か、この後に及んだ政治の不始末か… 人それぞれの興味、仕事、習慣等々によって印象に残るもの、あるいは同じ情報についての人それぞれの印象、そして記憶…
既に何年か経とうか、ある美術家との談義の中で「私たちは同じひとつのモノを本当に同じモノとして観ているのか」また「おそらく同じモノとして観ているのだろうけれども」とした氏の発言があった。ある純粋な懐疑心とも取れるが、視覚、網膜的レベルで、あるいは脳髄現象から認識にまで至る事件として興味を引く。ここでかの氏は、単純に認識の差異等によって物が違って見えているかもしれないと云っているわけではないだろう。
了解されていること、概念化され、そしてある種のコードによって読み解くことのできる世界として、私達の眼前に現れている事象。 しかし例えば、現代美術に於けるコンテクスト、やはりその種のコードによって成立している事象。だが教育やメディアから一方的に与えられただけの情報世界であったとすれば、なんと脆弱であろうか。
しかし物の見え方は言うを待たず、民族の違い、慣習によるそれ、あるいは途方もない先入観等々によって別の物として見えてもくるのだろう。現代美術についての、そのコード、文脈等は偏重主義ともなれば批判に値すれども、読み解きの利便程には役に立とう。 制度化の問題であれ全否定する必要もない。但し、じねん発生的解釈が、いかにとんでもない発想法に基づいていようとも、この成立している (居心地の良い?) 観念世界を覆すことともなるのだ。また現代美術に限らず芸術にはそうした最も古くかつ新しいシフトが常に必要なのだと言えよう。
さてこの度の展覧会、出品作家の数名は既に40年という活動歴を持つ。敢えてこの40年を振り返ったところから全出品作家の活動とその足跡があると言っても過言ではなかろう。時に現代美術は、ミニマリズム、コンセプチュアルアート等を経て、ことに日本では、”もの派” の活動が顕著となる時代でもある。出品作家のそれぞれが、その時代潮流を肌で感じ取りながら学び、制作し、またその活動の開始へとあゆみを進めたであろう。
しかしこのことは、出品作家の某氏は何がしかの流派に影響を受けてと言ったことを云々するものではない。むしろその逆、何派でもなく、流動する時代の変遷の中、黙々と自身の芸術と向かい合い、決して流されることなく活動をし続けてきたと言える。またその証がこの展覧会によって示されること、そしてまた未来に向けて留まることなくあゆむことを願う。
締めくくりに、展覧会タイトルについて少々触れておきたい。”SPIRIT PRODUCTS 展” この造語、直訳すれば “精神 産物 展” となる。しかし「精神の産物」を英訳するならば、the results of the spirit 等となる。つまり産物ではなく成果 result を使う。
product は主に工業製品を指すため文法上成立しない。ここまですれば、いささか奇怪にして滑稽と思われる方も多いと思うが、趣旨はサブタイトルにあるように、~精神と物質~ 。美術家精神 (spirit) は、主に物質 (matter) と格闘する、あるいは愛でる? 終局、産物 (work) と成す。造語としての “SPIRIT PRODUCTS” (常に “不可態” という名をして体と成す) を提唱しつつ終わりとする。 20090425 永倉 知美 (美術家)